gofujita notes

on freewritings

フリーライティングについて考えたことを、かいていく場所です


はじまりのフリーライティング

4. Leo のデスクトップ

今から5年前、Leo Babauta がまとめた2つの小さな記事に出会いました。「How to Create a Minimalist Computer Experience (ミニマリストのためのコンピュータ空間のつくり方)」と「minimalist mac setup (ミニマリストな Mac のセットアップ)」。Leo は米国にくらすライターで、これら2つの記事は、どちらもコンピュータの作業空間づくりがテーマです。ミニマリスト minimalist は、必要最小限主義、と訳せば良いでしょうか。

日本ではあまり普及しませんでしたが、当時、欧米を中心にミニマリストのブログがたくさんあったことを覚えています。コンピュータのハードウェアやソフトウェアの使い方などの気軽で実用的な記事もありましたが、その背景にある設計デザインの解釈や評価など、辛口で読み応えのある記事も多かったと思います。そして、タスク管理や仕事術の枠を超えたライフスタイル全体の提案を、具体的な技術をベースに展開している記事も少なくありませんでした。

余談ですが、Leo も含めたブロガーの多くが、フルタイムのライターとして独立していったことも、興味深い現象でした。もとの職業は、プログラマーが多いようでしたが、IT とは関係ない企業ではたらく会社員や牧師もいました。

さて、Leo がこの記事で薦めている快適なコンピュータ作業空間は、アイコンやフォルダの一切ないクリアなデスクトップです。見えるのは壁紙の絵や写真だけ。そして、ひとつの機能にフォーカスしたシンプルで軽快なアプリケーションを、必要最小限の種類だけつかう姿勢で貫かれています。ファイル検索やアプリケーションの起動も極力シンプルな操作で可能にする補助ツールを、これまた必要最小限にしぼっています。

そして、ぼくがここで書いているフリーライティング・ガレージも、原則、この姿勢に倣っています。シンプルであることが、自由をつくり出し、その自由さが、楽しさや前進のエネルギー、大げさに言うと、オリジナリティや創造性の源になる、という考え方です。


ぼくは、フリーライティングに限らず、書く作業の9割は Mac をつかっています。自宅でも職場でも、ほとんど Mac です。その理由はシンプルで、アウトライナー OmniOutliner Pro をつかうことのできる OS が Mac OS X だけだからです。ある人が特定のハードウェアをつかうきっかけや根本的な理由になるアプリケーションを、英語圏の人はよく「キラーアプリ killer app」と呼びます。OmniOutliner は、ぼくにとってキラーアプリなのです。

ですからここでは、Mac OS で動くソフトウェアの話が中心になります。Windows や Linux ユーザーの人は読み飛ばしてもいいですし、そういうApple のガジェット好きが書いている与太話、として楽しんでいただいてもかまいません。また、大きな心で読めば、つまり何を目指しているのかを捉えていただければ、Windows や Linux ユーザーの方にも役立つよう、心がけてかいたつもりです。

4.1. ハードウェア

コンピュータ:フリーライティングに使うコンピュータとして、ぼくは以下の条件が大切と考えています。

  • お気に入りのアウトライナーを使うことができる。
  • 処理速度がある程度速い。アウトライナーをスムーズに使うことができる程度に。
  • 持ち歩くことができる。つまりデスクトップでなくラップトップ。
  • 軽い。いつも持ち歩いて苦にならない重さ。できれば1キロより軽い。
  • すぐ起動できる。今だと記憶媒体が SSD のものが便利。
  • 丈夫である。日々持ち歩いても壊れない。
  • 日中、バッテリー残量を気にしなくていい。フル充電から短くても 6ー7時間以上、コンセントの場所を気にせずに使える。

以上の条件を備えるものとして、ぼくは MacBook 12" を使っています。OmniOutliner Pro の小さな問題点として、動作が重い点があげられますが、操作中の反応も今のところ気になりません。ただし、ファイルサイズが1メガを越すと起動に少し時間がかかるようになります。ベンチマークテストでは似たパフォーマンスの MacBook Air 13" とくらべ、 OmniOutliner Pro の起動時間は何倍か長くかかります。Ratina Display のせいでしょうか..。

タブレット:タブレットとアウトライナーの組み合わせが便利ではないかと考え、iPad Air と Apple の Bluetooth キーボードを使って、本格的に試した時期がありました。2013年秋からの1年間です。そして、現時点ではタブレットでアウトライナーを使うことは断念しています。iPad 用のアウトライナー (OmniOutliner 2、WorkFlowy) を並行して使ってみたのですが、フリーライティングの道具としてはまだ今ひとつ、というのがぼくの感想です。

ファイルサイズが大きくなると起動までの時間がとても長くなる (OO、WF)、クラウド上のファイル保存に時間がかかったり、矛盾ファイルが多発する (OO)、フォーカスできない (OO)、アウトラインの編集がやりづらい (WF) などが主な理由です。ただし、これらの欠点は、アプリケーションの開発に携わる方々の努力によって日々改善されていることも付け加えておきます。また、ハード面の性能向上も無視できません。

これまた余談ですが、タブレット1枚 (できれば 500 グラム以下) でフリーライティングやアウトライン・プロセッシングという手軽さが、ぼくの夢でもあります。ハードのキーボードも使わず、オンスクリーンのキーボードだけ。インストールしているアプリケーションもアウトライナーと軽いテキストエディタのみ、というのが夢のフリーライティング・ガレージです。今でも、定期的にソフトウェアとハードを調べています。愉しい時間です。

スマートフォン:今から7年前、iPhone 3G が日本で販売になったとき、すぐに飛びつきました。そのとき使っていた携帯と愛用していた iPod がほぼ同時に壊れたこともありましたが、一番の理由は、長文書きに使える「ポケットコンピュータ」を期待したからです。当時はアウトライナーのことをよく知らなかったのですが、タブレットのときとおよそ同じ理由です。

買ってすぐに探したアプリケーションは、いわゆるノートアプリとアウトライナーでした。まだ数えるほどしかアプリケーションがなかったことが、懐かしいですね。ただし、アウトライナーという言葉を知らず、「アイディア・プロセッサー」や「アウトライン・プロセッサー」という語で検索した記憶があります。そして、タブレットよりずっと先に「スマートフォンで長文書き計画」も断念しました。これだというアプリケーションがなかったこともありますが、一番の理由は、1画面に表示できる文字数が少ない点でした。解像度があがり、画面サイズも大きくなった今も、それは変わりません。

今は、移動中に閃いた文章や、本当に忙しいときに2−3パラグラフ程度の原稿を書くことにつかっています。たとえば DraftsMemoFlowy のようなアプリケーションでメモをとり、それをアウトライナーに貼り付けるという形です。

4.2. 小さなアプリケーション

正直にお話しすると、ぼくはアプリケーションを深く使いこなすことが苦手です。忙しいせいにしたり、変わり続ける機能を追いかけるのに疲れたせいにもしていますが、本当は、面倒くさがりなのだと思います。なので、ここで紹介するアプリケーションはたった3つです。しかも、ごく基本的な機能だけしか使いません。

ランチャー:キーボード操作だけでアプリケーションを開いたりするための、アプリケーションです。LaunchBar を使っています。[cmd + space] で LaunchBar の小さな窓が現れ、'o' とタイプすれば o で始まるアプリケーションが LaunchBar の画面に出てきます (図)。 矢印キーで OmniOutliner を選択、リターンキーで OmniOutliner のファイルが開きます。何度か繰り返すと、OmniOutliner 一番上にくるように学習されます。この使い方をするだけなら、LaunchBar を設定する必要もありません。ダウンロードしてほぼそのまま使えます。

ランチャーは、気の利いた機能がたくさんある小道具です。いわゆるランチャー機能以外に、たとえばキーボード操作だけで四則演算できたり、アプリケーションを開かずにデータ書き込みもできます。でも、ぼくがランチャーを使う理由は、以下の3つです。

  • キーボードから手を離さず、キーボード操作だけでアウトライナーを起動できる。
  • 他のアプリケーションを使っている最中でも、この操作ですぐアウトライナーに切り替えることができる。
  • デスクトップがきれいになる。ショートカット用のアイコンを置かなくてよい。

LaunchBar の大きな長所として、日本語入力中でも、半角英数字に切り替えずに操作できる点があげられます。本当に便利です。

スニペット用アプリケーション:省略記号で決まりの文章や単語を展開するアプリケーションです。TextExpander を使っています。たとえば「obrg」とタイプすれば、登録しておいた「Obrigado! Go」(ありがと! ごう) という言葉が展開します。スニペットアプリを使う利点はたくさんありますが、フリーライティングにとっての1番の利点は、時計やカレンダーを見ずにすぐ日時を記入できることです。

  • 例1.ttt → 647 on December 28 2015
  • 例2. ddate → December 28 2015

時刻と日付を展開するための設定画面は、以下の図のような形です。

もちろん、繰り返しでてくる言葉を覚えさせておくのも便利です。

  • 例3. ccmm → /* */ (コメントの前後の記号)
  • 例4. eemm → (自分のメールアドレス)

補足ですが、OmniOutliner には日付や時刻のスニペット機能が、もともと備わっています。[cmd + @] (US キーボードでは [cmd + shift + '@']) で時刻、[cmd + '/'] で日付が自動出力されます。たとえばこんな感じです。

  • 7:44:34 AM (cmd + '@')
  • 11/25/15 (cmd + '/')

WorkFlowy には、この日付や時刻のスニペットが備わっていませんが、スニペットアプリを使っていればこの不便さは感じません。スニペットアプリの良いところは、どのアプリケーションを使っていても、同じ省略記号で同じ文字を展開できることです。これも小さなことのようで、書くことに集中する大切なチューニングのひとつと考えています。

ウィンドウ配置自動化アプリケーション:一般的な呼び名を知らないのですが、キーボード操作だけでアプリケーションやフォルダのウィンドウの位置や大きさを操作するアプリケーションです。Spectacle を使っています。今使っているウィンドウを画面全体に広げたり、画面の左 (あるいは右) 半分、といった形で、キーボードの操作だけで配置できます。ぼくは主な設定として [opt (alt) + '/'] で画面全体、[ctrl + opt + ←(→)] で画面左 (右) 半分に設定しています。

たとえば、本を読みながらノートをとるとき、下図のように左半分が本のウィンドウ、右半分がノートのためのアウトライナーという画面に一瞬でできます。この図の右側にあるアウトライナーは WorkFlowy です。

ノートをとりながら読書している最中にアウトライナーでのフリーライティングに集中したくなったときには、 [opt + '/'] ですぐアウトライナー全画面表示にできます。参考までに、設定画面も載せておきます。

4.3. おわりに

ここで説明した道具をつかう意図ははっきりしています。1) いつでもどこでもすぐフリーライティングできるようにすることと、2) 書き始めたらできるだけ書くことだけに集中できるようにすることの2つです。それを必要最小限な形で整えることも、本末転倒しないために大切です。

今回のまとめ

フリーライティング・ガレージの道具として、OmniOutliner というアウトライナーをつかっていることは、すでにお話ししました。ハードウェアは MacBook 12" をつかっています。いつでもどこでも書き始められるよう、携帯性とある程度の速さを備えたハードウェアだからです。

書くことに集中しやすい環境を整えるため、ランチャーやスニペット用アプリケーション、そしてウィンドウをキーボード操作で自動配置する小さなアプリケーションもつかっています。キーボードから手を離さず、他のソフトウェアを使っているときでもすぐにアウトライナーのファイルに移動し、日付もすぐに入力でき、少ないキータイプで入力をするための小道具です。