gofujita notes

on freewritings

フリーライティングについて考えたことを、かいていく場所です


はじまりのフリーライティング

1. 自然に始めるための心理装置

フリーライティングでは、とにかく書き始めること、それもできるだけ自然に書き始めることに意味があります。磨かれた柔らかい金属レールを滑り始めるように、書き始めるのです。それが、頭の中にあることを文章化するプロセスの、大切な第一ステップになります。

自然に書き始めるとは、たとえば呼吸するように書き出すことです。さっきまでカフェでおいしい珈琲を飲んでいたのに、気がついたら「あれ、オレ、書いてるじゃん」っていうような状態が、理想のひとつです。

先にお話したように、フリーライティングには、継続することにも大きな価値があります。書くことが好きなあなたには、無性に書きたくてどんどん筆が進むといった形で書き始めた経験が、きっと何度もあるでしょう。しかしその一方で、どうしても書けない、手がつかないという経験も、何度かあるのではないでしょうか。

この書けない状況、いや、書き始めることができない状況を如何に少なくするか。そのために、どのような心の装置を自分に合った形で仕掛けておくか。これが、フリーライティングを楽しみ、その果実を堪能するための鍵になると、ぼくは考えています。

1.1. 短い時間書くことにする

少しやってみるという姿勢は、ぼくにとって、書くことに限らず、色々な作業を前進させる効果の高いマインドセットです。どんなに忙しくてもくたびれていても、少しだけならやってもいいと、手を動かす気分になれるからです。

これをフリーライティングにも使います。ぼくの場合、具体的には「10分だけ書く」ということにしてあります。たった10分です。これだったら、いくら忙しい時でも努力なしで確保できる時間です。そして、自然に集中を継続できる時間でもあります。

この10分は、ぼくにとってマジックナンバーです。この時間なら、いつでもどこでも確保できそうな気分にさせてくれる数字です。朝、職場へいく途中のカフェでも帰りの電車の中でも、へとへとに疲れてシャワーを浴びたあとでも、「10分だけならやってみようか」という心の姿勢をとることができます。

興が乗ってくれば、10分で止める必要はありません。20分でも30分でも、続けて良いことにしてあります。ただし、ぼくの場合は最大1時間という目処は決めてあります。それ以上続けると、他の約束や仕事が遅れる原因になることが多いからです。

この「下限10分、上限1時間」は、もちろんぼくにとっての目安です。要は、あなたにとって無理のない、自然に書き続けられる時間を知っておくことが大切なのです。

1.2. 儀式的に始める

儀式的に始めることのねらいは、書くという行動のトリガーをつくることにあります。ちょっと仰々しいですね。言い換えると、書くという作業のスイッチをオンにするための決まりごとをつくって、体に覚えてもらう、ということです。

ぼくの儀式は、本当にかんたんです。まず、左手首に巻いたアナログ腕時計のベルトを外し、ベルトをまっすぐにのばしながら、机の上に置きます。置く位置は、フリーライティングの道具である MacBook Air や Moleskine ノートの左横、書きながら時計が視野の左隅にぼんやり入る場所です。そして、時計の右上にあるストップウォッチボタンを左手の親指で押し、時間を測り始める。それだけです。

この動作と、腕時計の秒針のアナログな動きが、書き始めのよいトリガーになっています。これだけで、書きたい気持ちがぐっと高まります。

1.3. 習慣化する

習慣化は、人に限らず多くの動物がもっている、とても便利な、でも取り扱い注意でもある、心の特徴です。この良い部分を使います。

具体的には、まずは3週間、毎日同じ時間、同じ場所、同じ状況でフリーライティングを続けます。ぼくは、朝起きてすぐ机のある部屋に入り、外の風景を見ながら深呼吸をしたあとすぐ MacBook Air に向かい、フリーライティングを10分間続けるというプロセスを3週間繰り返しました。

最初の数日は、ちょっとぎくしゃくするかも知れませんが、まあ気にしないことにします。いい感じでクセになり始めたなと思った頃に、何か小さなアクシデント、たとえば、ゆうべ寝るのが遅かったせいで遅刻ギリギリに目が覚めてしまった、ということが起こることもあるでしょう。でもがっかりせず、翌朝に再開しましょう。ああ今日は気持ちが乗らないなと、思う日もあるかもしれません。そういうときでも、しのごの考えず続けます。

3週間という期間は、ぼくにとって習慣をつくるのにちょうどいい日数です。あなたが3週間にこだわる必要はありません。自分が新しい習慣をつくるのに必要な日数を、知っておくことが大切なのです。

21日と書かずに3週間としたのは、日本では週単位でいろいろなことが動いているからです。会社や学校に通っていない場合でも、家族にそういう人がいれば、どうしても週を単位にして生活のリズムがつくられます。つまり3週間続けるということは、この生活のサイクルを3回とおして繰り返すということであり、そうすれば習慣化できる可能性が高いと考えている訳です。

行動を習慣化する、つまりクセにしてしまうことの強力さは、きっとご存知ですね。習慣化してしまえば、その時間にその場所に行くだけで、書くという行動スイッチが自然に入る可能性がとても高くなります。そうすることで、生活のリズムの中に、フリーライティングというプロセスを組み込むのです。

今回のまとめ

フリーライティングを楽しみ、その果実を堪能するには、自然に書き始めることが鍵になります。そのためには、何も考えずすぐに書き始めるための心理装置を、あなたに合った形で仕掛けておくことが重要です。ぼくは、まず以下の3つが大切だと考えています。

  • 短い時間書くことにして、いつでも書けるというマインドセットをつくる。
  • 儀式的に始めることで、書くという行動のトリガーをつくる。
  • ある期間繰り返すことで、それを習慣化する。