on outline processing, writing, and human activities for nature
新しいキーボードをつかいはじめました。Keyboardio Atreus というメカニカルキーボードです。
きっかけは大学生協に見本として置いてあったどこかのメカニカルキーボードのキースイッチにさわったこと。Red と brown、blue スイッチ、それぞれを打った感覚が予想以上にちがっていて驚きました。
ぼくはこの2年間、HHKB というメカニカルではない外部キーボードをつかっていました。
HHKB には静電無接点容量方式というキースイッチがつかわれていて、ぼくにとっては、静かに滑るようにキーを押しつづけながら文章をかくことの幸せを教えてくれた、すばらしいキーボードです。
なのですが、生協で見本のキースイッチをさわり、HHKB とちがうキーボードもつかいたくなったワケです。
そして、ひと目見るだけで作者のメッセージを感じる、その特徴的な外見に惹かれていた Atreus の情報を集め、注文しました。
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Atreus はキーが44鍵しかない小さなキーボードで、キーが22鍵ずつ左右に分けられ、それら2つのキーの塊がカタカナの「ハ」の字型に置かれています。
それぞれのキーは縦方向 (列) にはまっすぐ揃っていますが、横方向 (行) には指の長さにあわせてズレていて、中指を置く列がいちばん高くなっています。Column staggered と呼ばれるレイアウトです。
そして cmd や shift、ctrl などの修飾キーや space キーはいちばん下の行にあります。
キーの少なさと、この独特のレイアウトが Atreus 最大の特徴でしょうか。 全体のサイズも小さくまとまっていて、わずか 25cm x 10cm の範囲に納まっています。
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Atreus を受けとったのが12月3日の夜でしたから、今日でつかいはじめて6日。
最初は予想以上のつかい辛さにとまどいましたが、頭で予想していたよりはずっと速く慣れている感覚があり、タイピングが楽しくなってきました。ストレスなくタイピングできる手応えを感じています。
その理由を考えてみました。
ひとつ目の理由は、上にかいた column staggered レイアウト。
このおかげで、指それぞれが担当するキーが明確になります。基本縦1列に並ぶ3つのキーが担当で、人さし指だけ2列。親指はいちばん下の行の主に修飾キー担当になります。
縦方向のズレは指の長さに対応しているので、これに合わせる形 に手を置くと楽にタイピングでき、かつタイポが減り、叩く速度も速くなります。
キーが縦方向にまっすぐに並んでいるので、総じて指を動かす距離も短くなります。しかも、指がすぐに届く範囲に小さくキーがまとまっています。
ストレスを感じないもうひとつの理由は、複数レイヤをつかって数字や記号、矢印キーを押すというシステムだと予想しています。
矢印や数字キー、そして記号はアルファベットなどと別レイヤに置かれており、func/esc キーを押しながらタイプします。このおかげで、ホームポジションから「遠い」キーへと指を動かす必要がなくなり、ぼくの場合はタイポも減りました。
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まとめると、少ないキーと縦にまっすぐのキーレイアウトの組み合わせで全体を小さくまとめ、それぞれの指の移動距離を小さくすることで、タイピングの速度と精度を上げることを目指している。それが Atreus。
もちろん、複数レイヤをつかい分けるというシステムに慣れるには時間がかかることは確かで、どんな人にもオススメ、というキーボードではありません。
ただしぼくにとっては、ホームから遠い場所に置かれた数字キーへ指をのばして押すよりも、func キーを押しながらホームにあるキーを押す方がとてもやり易い。そういう感覚をもっている人には、試してみる価値があるかもしれません。
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最初にかいたように、Atreus はメカニカルキーボードで、キースイッチやキーキャップをかんたんに交換できます。もちろんこれも、このキーボードの大きな魅力のひとつ。
とても楽しみにしているところです。
そしてもうひとつ、(最初にはかかなかったのですが) この Atreus を選んだ理由として、skk という日本語変換システムがつかいやすそうに見えた、という点があります。
この辺りの話しは、また別の機会に。
最後に、ここにかいたことは実際に Atreus をつかいながらぼくが考えたことをベースにしていますが、加えて Atreus のサイトや、テック系 (+ 社会派?) ポッドキャスト rebuild.fm の #9: Making your own keyboard (Jesse Vincent) と #291: Emacs Crashes Every Morning (typester) で熱く、あるいは楽しそうに語られている内容や、その show notes で引用されている記事なども参考にしていることをお伝えしておきます。
もちろん、文責はぼくにあります。