gofujita notes

on outline processing, writing, and human activities for nature


ペン日記: スティールかゴールドか

初めての翻訳記事公開。

 

タイトル: スティールニブはすばらしい

著者: ブライアン・グレイ (エディソン・ペン)

 

万年筆ユーザーだけでなく、万年筆に何となく憧れている人にもオススメの記事。著者のブライアン・グレイは、アメリカのオハイオ州にあるペンメーカー、エディソン・ペン・カンパニーの創設者。

以下は、この記事の背景のようなものとブライアンたちの短い紹介。

長く使える万年筆が欲しいと考えたりすると、そのニブ (ペン先) の素材を鋼鉄 (スティール) にするか、 金を含む合金 (ゴールド) にするかで迷うことが多い。

(個人的な経験だと) 多くの万年筆サイトやリテイル (販売店) の人たちは「初心者にはスティールニブが無難だけど、長く使うならゴールドニブを」とアドバイスしてくれることが少なくない。

しかし、スティールニブのペンとゴールドニブのペンの値段は、1万円から2万円以上ちがう。自分にとってゴールドニブはその額を払う価値があるのかどうかを、経験のないまま判断することはとても難しいし、もしかすると無理なことかもしれない。

ここで紹介するブライアンの記事は、こんな風に迷う人たちに役立つ彼なりの意見を、根拠も挙げながら謙虚にでも明快に提案している。 それは、スティールニブの書き味はゴールドニブとそれほど変わらないのになぜか不当な扱いを受けている、というものだ。

ぼくは万年筆を好きになってまだ一年。 だから、勘違いしていることも多いと思うけれど、いくつかのスティールニブとゴールドニブのペンを使いながら、スティールニブの書き味がゴールドニブとそんなに違わないと感じていた。そんな中で、このブライアンの記事を見つけた。

ブライアンは、ペンをつくるメーカーとしての立場から、そして万年筆のことを大好きなひとりのユーザーとしての立場から、多くのユーザーを配慮した冷静な文章を仕上げている。ユーザーが自分で判断できるよう情報を示しながら、「ペンの書き味」という主観的な話題にもチャレンジしている。

記事が書かれたのは2010年だが、その内容はもちろん現在にもほぼ当てまるものであり、おそらく長い将来にわたって通用する意見だと、ぼくは考えている。

エディソン・ペンは、ブライアン・グレイとアンドレア・グレイ Andrea Gray がアメリカのオハイオ州にある自分の家のガレージで2007年に立ち上げ、確実に成長をつづけながら、手づくりの万年筆を生み出しつづけている小さいけれど魅力的なペンメーカー。

注文を受けてからつくり始めるペン (Signature Line と彼らは呼んでいる) を中心に、リテイルでも買えるペン (Production Line) も揃えている。 彼らのつくるペンは、やや高価だけれど品質が高い。ぼくにとっては、ブライアン本人がニブを調整した上で出荷している点が大きな魅力。インク補給システムにユニークなものが多いことも特徴だけれど、何よりもボディデザインが本当に美しい。

ぼくがブライアンにこの記事を日本語にしたいと相談したとき、ブライアンとその同僚のジェイク・ウィリスは、快く受け入れてくれた。

この翻訳に限らず、彼らと交わしたやりとりを通して、ペンのことだけでなく、しごとの進め方というか生きる姿勢のようなものを学んだように感じている。

ありがとう、ブライアン。