on outline processing, writing, and human activities for nature
1. Carsten さんと Org
1-b. プレーンテキスト形式でデータの編集と保存をしたい
Org の特徴として、プレーンテキスト形式のファイルでデータを操作したり、保存したりする点が挙げられます。なぜ昔ながらのテキストファイルにこだわるのか、という問いへの Carsten さんの説明はこんな感じです。同じ動画2分10秒からの簡潔な説明。
これも日本語にしてみます。
2つめの最初にある grep は、UNIX などのコマンドで、対象とするすべてのファイル内の文字列検索などのための強力なコマンドです。5つめの GIT は、かいている最中の原稿やコードファイルのバージョン管理のためのシステム。
リストいちばん上のセンテンスが、下につづく4つのセンテンスの基礎にもなっていますね。「the only truly portable format」ということばが、すべてを説明しています。
真の意味でポータブルな書式だからこそ、今も、そしておそらく将来にわたっても、いろいろな場面でその恩恵を受けることができる。
*
データ書式の軽快さと汎用性の高さの個人的な利点としては、たとえば職場の PC と自宅の mac や iPad など、OS やハードウェアの種類を気にせず、同じように作業できるという強みに繋がります。
さらに同じ理由で、多くの人が気軽に情報をシェアしたり気軽にその情報を編集できるという可能性も広がっています。
この利点は、データだけでなくそれを処理するコードにも当てはめられ、さまざまな情報とその情報を処理するシステムそのものをよりダイナミックなものにする鍵にもなると、ぼくは考えています。
1-c. Emacs の姿勢を継承したい
Org はひとつのパッケージとして、Emacs と一緒に配布されています。Carsten さんはなぜ、 Org の土台として Emacs を選んだのでしょうか。
その説明は、以下の別の動画にありました。
「Emacs Org-mode: Organizing a Scientist’s Life and Work」
音質がよくありませんが、おそらく、2010年の MIT での講演で、5分45秒あたりからこの話題がでてきます。
日本語にすると..
ここも、ぼくにとって大切なポイントになります。とくに2番目と最後の項目。
プラットフォームとしての機能を備えているとは、今の OS やウェブアプリ開発環境としてのブラウザのような機能を備えている、という意味だと思います。しかも Emacs は、軽快かつ汎用性の高いプラットフォームである。
最後のセンテンスには Apple の名前がでてきますが、Apple のような大企業に頼らなくても、ユーザーが自分のつくりたい統合的なツールををつくり上げる場になると、Carsten さんは考えていることが分かります。
Emacs については長くなるので、もう少し先の節で改めて説明する予定です。要点をかいておくと、Emacs には、テキストエディタ以上のテキストエディタ、という社会的な役割があると、ぼくは理解しています。