gofujita notes

on outline processing, writing, and human activities for nature


Knives Out

告白すると、ぼくはミステリードラマのファンです(え、知ってた?)。

でも、ミステリーで大変残念なところは人が死んでしまうこと。生まれてからたくさんのドラマを経験してきたはずの登場人物が、そんなことお構いなしで死んでしまう場面が多いこと。

で、もうひとつ残念なのは、出てくる人たちがみんな犯人に見えるくらい、ひどい性格に描かれる作品が少なくないこと。「この ○○○ hole 野郎!」って言われても仕方ないくらい人でなしの探偵が出てきたり、探偵ものに出てくる刑事がとても stupid に描かれていたりすると、がっかりします。

にも関わらずミステリーが好きなのは、犯人と探偵や刑事の知的な戦いを、エンタティメントとして楽しめる仕掛けが盛りだくさんの作品が多いこと。それが、たとえば小さな田舎町の風景の美しさといっしょに描かれていたら、もう最高。

だから、アクションとカーチェイス満載の作品よりも、犯人も探偵や刑も走りすらしない、カーチェイスもせいぜい探偵が自転車に乗ってヒース草原の中をつっぱしる程度(カーじゃないか..)の作品が好み。

で、先の週末にたまたま『Knives Out』を Netflix で観ました。日本語にすると「すげぇ嫌なカンジのヤツら」でしょうか。そんなタイトルなのに、すげぇよかったので紹介します。

アクションはほぼありません。最大のアクションは、主役のひとり Marta が屋敷の壁を昇って降りるシーンでしょうか。でも、物がたりの3分の2くらいは、ひやひやドキドキしました。とくに始まって30分あたりからの物がたりの展開がすばらしかった。

舞台はたぶん米国で、探偵 Benoit Blanc(カタカナにするのが難しそうな名前ですね)は、南部のアクセントがとても強いという設定です。それを、ブリティッシュ・イングリッシュの印象が強い英国人の Daniel Craig が演じているのもおもしろいところ。

こいつダイジョブ?っていう雰囲気満載の自信過剰で stupid にも見える Blanc といっしょにいるのは、地元州警察の Eliott 刑事。知的で良心もかいま見える刑事です。

そんな人たちの何枚も上を行ってそうな、知的で意志も強く見える推理小説作家で富豪の Harlan Thrombey(これまたカタカナにしづらい名前?)を演じる Christopher Plummer の演技もよかったです。

ネタバレしないようにがんばって書かないように書くと、推理作家 Harlan がしかけた巧妙なトリックと、彼が信頼をおく移民の看護師 Marta の知性と良心。それらに戦いをいどむ、こいつダイジョブ?な探偵 Blanc との知的な攻防が、戦いを越えたものに展開する物がたり。

監督は Rian Johnson で、公開は2019年。彼はスターウォーズの「最後のジェダイ」の監督ですよね。

ミステリーのエンタティメント的な醍醐味を味わえる、いい話しの隠された物がたりです。