on outline processing, writing, and human activities for nature
ほんとうに何を書いてもいい、大きなフリーライティングはむつかしい。
頭に浮かぶことは雑多であり、でもまったくランダムではなく、自分の生活に近すぎて、感情のくっついたものが浮かぶ傾向がある。
しかも、忙しいときやがっかりしているときには、何と言えばいいか、抗しがたい、ネガティブな感情が多い。
たとえば、焦りやがっかりした心持ち、漠然とした怖さと呼びたくなるような感情。
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そういうときは一度手をとめて、姿勢を正して深呼吸し、心持ちを少し変える。
まず、急ぎすぎないよう心がける。コンピュータに向かってやっているなら、タイプスピードいちばんではなく、ていねいにタイプする。頭に浮かぶことばを文字にする作業に心の中心をずらす。
そうすることで、アイディアの流れを少し遅くできる手応えを感じる。あるいは、やや暴走気味の流れから、そうではないアイディアをからめとる糸口をみつける感覚を覚える。
焦ったりがっかりしたり、怒ったり悲しんだりしているなと思っても、とりあえず気にしないで、手にしたアイディアからていねいに思考の糸を紡ぎつづける。
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紡いだ糸が紡錘にたまるように、ことばの糸がたまってくると、その紡錘に巻き取られた糸の束の一部や全体から、何とも言えない満足感といっしょに、新しい意味を感じるようになったら、こちらのもの。
その意味を、リアルな文章に近づける。具体的には、とくていのことばやセンテンスにフォーカスし、それを出発点にことばの糸を紡ぎ直せばよい。
最初の大きなフリーライティングとは違い、流れがジャンプすることも少なく、論理的な構造もより洗練されてくる。
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もちろん、そうならないこともある。たとえば、ことばがあちこちに飛び歩き、ネガティブな心持ち(漠然としたものもあれば、具体的なものもある)が大きくみえつづける。あるいは、かくことで却って大きくなる場合もある。
そんなときは、フリーライティングをそこでやめればいい。アウトライナーにかいているなら、そこにかいた項目を閉じてしまえばいい。
そうすることで、ちょっとすっきりするし、そこにかいているときの心持ちから「物理的に」距離をおくような感覚をもつこともできる。
そして、数日置いたあとにその項目を開いて読みなおすと、そこから実際に距離をおいた自分を実感したり、そこにフリーライティングされた文章を愉しんだりできることも多い。
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まとめ。何をかいてもいいフリーライティングは、むつかしい。その理由のひとつは、生活のなかで特定の感情とくっついたことばが、アイディアの流れを暴走させるからかもしれない。
そんな場合は、その感情とことばの連想を手放すために、ていねいにゆっくり、でも頭に浮かぶことばを文字にする作業にフォーカスする。
あるいは、そういうフリーライティングを意識的にやめて、一時的に放っておいてから気軽に読みなおし、その感覚を愉しむ。