gofujita notes

on outline processing, writing, and human activities for nature


テキストファイルで約束のリストをつくる

自分がやりたいことを整理する道具として、アウトライナー OmniOutliner を使っている。

シンプルが好きで、かつ、なまけ者でもあるぼくは、何年かかけてやりたいと思うことも、今取り組んでいる仕事のことも、ひとつのアウトライン (リストと呼んでもいい) に書き出す。そしてシンプルな形になるよう、削ったり磨いたりする。

ぼくは、このアウトラインを「my outline」と呼んでいる。この my outline には、自分の生活を眺めるための文章 life synopses (生活のアウトライン) も入っているし、それ以外のことをフリーライティングした文章もすべて入っている。

ただし、ひとつ例外がある。人と約束したことの覚え書きリスト。このリストは my outline と別にしてある。

約束といっても日常の小さなものが中心で、たとえば、人から頼まれた仕事の内容やその締め切り。あるいは、会議や人との待ちあわせの日にちや時刻。あたりまえだけど、約束というルールとうまくつきあうためには、何をいつまでに終わらせるのか、覚えておくことが大切になる。そのためだけにつくったリスト。

この約束のリストは、シンプルな構造で階層もひとつ。急ぎの約束が一番上で、少し先の約束は、日づけや時刻を入れて、下の方に並んでいる。約束の日付が近づいてきた項目は、上へ移動する。ただ、それだけ。

今、ぼくの約束リストの項目は、全部で20個くらい。油断するとすぐ40個以上に増えるので、できるだけ小さなリストにするよう気をつけている。このリストの大きさが、安うけあい、つまり自分の力を超えて約束しすぎていないかどうかの目安にもなる。

約束のリストを my outline と別にするいちばんの理由は、そうすることで、大切でやや複雑な my outline を安心して按配できること。まちがって人との約束を消したり、書き換えたりする心配をせずに、自分のアウトラインを編集できる。

約束したことがほかの文章にまぎれこむ心配などしなくていいし、約束リストの優先順位が入れ替わったり、期日が消えてしまうこともない。そして、新しい約束がふってわいたとき、すばやく約束のリストに書き込むこともできる。

この約束のリストづくりに、ぼくは TaskPaper という Mac OS 用 App を使っている。その理由は、軽さと安全性。

起動が早く、テキストファイルで作成できる。テキストファイルなので、たとえば Mac で他の Apps を使っている最中でも LaunchBar などのランチャーで、メモを書き込みできる。テキストファイルなので、万が一 TaskPaper が使えなくなったときも、他のエディタで普通に読み書きできるという大きな安心感もある。

しかも、TaskPaper は簡便なアウトライナー機能をもっているから、すぐ複雑化してしまうリストをアウトライナーのような操作感で編集できる。

Dropbox などにファイルを置けば、iPhone や iPad で読み書きできる。以前は iOS 用 TaskPaper もあったのだが、数年前に開発が終わってしまった (このいきさつが興味深い)。でもすごく困ったわけではなく、今は Markdown エディタの Byword で約束のリストを読み書きしている。その後 Taskmator という TaskPaper コンパティブルな iOS App が登場したけれど、今のところ意図的に Byword を使いつづけている。

ぼくにとって、テキストファイルのリストは、シンプルなリストの象徴。情報カードなどに手で書いた小さなリストと似た感覚がある。

テキストファイルを編集できる簡易アウトライナーを使って約束のリストをつくることは、小さな知的生産の技術として、とても気に入っているやり方のひとつ。