on outline processing, writing, and human activities for nature
WorkFlowy というアウトライナーがあります。
WorkFlowy のサイトによると、現在のアカウント登録数は300万人。アウトライナーアプリの中でもいちばんのユーザー数を誇るアプリのひとつだと思います。
近年、アウトライナーを使っている人が多くなった理由のひとつは、このシンプルで洗練された UI をもつアプリの普及に負うところが大きいと、ぼくは予想しています。
WorkFlowy が発表されたのは2010年。発表から12年以上つづいてきただけでなく、今も継続的に機能のアップデートをつづけている、元気のいいアウトライナーです。
ぼくは充分におっさんなので、2010年にはすでにオトナのおっさんでした (笑)。で、その頃のようすをある程度覚えています。
当時、ノートをとるアプリとして、ぼくのまわりでつかっている人が多かったのは、Word などのワードプロセッサ、秀丸や TextEdit などのテキストエディタでした。Evernote をつかう人をみるようになったのも、この頃かもう少しあとだったでしょうか。
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そして、それから12年。たぶん WorkFlowy 成功の影響で、アウトライナーアプリも多数つくられ、Dynalist や Roam のような WorkFlowy と肩を並べるメジャーなアウトライナーも登場しました。
アウトライナー以外のノートアプリとして、たとえば Obsidian や Scrapbox のような名作も生まれています。
そういった中で、WorkFlowy はこれからどのような道を歩もうとしているのでしょうか。以前から興味をもっていたので、WorkFlowy やその開発者の歴史などが分かる情報をしらべてみました。
2014年から2015年、ぼくが使いはじめた頃には、WorkFlowy についての情報がほとんどありませんでしたが、それから8-9年のあいだにいくつかの興味深いインタビューのポッドキャストやそのスクリプト、動画が発表されていました。
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今回は、いいなと思った情報のひとつとして、以下のポッドキャストの内容の一部を紹介します。「Indie Hackers」というポッドキャストです。公開は、2017年11月。
「The Story of WorkFlowy: From $0 to $800,000 a Year with Jesse Patel」
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そのインタビューによると、WorkFlowy 開発者である Jesse Patel さんが、実際に WorkFlowy をつくり始めたのは2008-9年だったそうです。
当時、400万人の利用者をかかえる事業開発の仕事をしていた Jesse さんは、その作業量と複雑さ、やること流動性の高さに、圧倒されていました。
Jesse さんは、複雑で変わりつづける仕事の情報を捉えるためのツールを探し、まず、Word のアウトラインモードに出会い、アウトライナーがこうした状況に有効なツールであることに気づきます。
しかし、この Word アウトラインモードには、何かが足りない。
そして、その足りない何かが、フラクタルな構造をもつテキストデータを操作する機能であると考えます。
I want to write out the ideas for that marketing proposal, but I can't do it inside this to-do. It's in this to-do, it needs to be there. Basically, I just had this sense that I needed something fractal and that went in forever. (2m 55s)
マーケティング企画書のアイデアを書き出したいのに、この to-do リストの中に書き込めない。このアイディアは to-do リストの中にある。そこにある必要がある。基本的に、ぼくはフラクタルなものが必要だという感覚をずっともっていた。(2分55秒)
そのアイディアの実装が、ズームイン/ズームアウトできるアウトライナーであり、それが WorkFlowy の始まりになったそうです。
(余談ですが、org mode という Emacs にアウトライナーの機能を実装したモードをつくった Carsten Dominik さんが org をつくるきっかけになった動機も、この Jesse さんの状況に似ているところがおもしろいですね。Carsten さんの話しは「Org との日々 #2」にかきましたので、よかったらよんでください)
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加えて、Jesse さんは、自分が他の人とリアルタイムでいっしょに作業したがる人であることを、強調しています。人と対話しながらアイディアを育て、作業をすすめる人であると語っています。
It's like I really want to work together in a sense of I like pair programming is a good example. I love looking at the same screen as people and doing things together.. (34m 9s)
ペアプログラミングがいい例だけど、ぼくは、ある意味いっしょに仕事をしたいんだ。他の人と同じ画面を見ながら、いっしょに何かをするのが好きなんだ..。
アウトラインを個人ひとりが操作するだけでは不十分で、複数の人が自由に操作できる機能を重視している訳です。
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全体で1時間にわたるこのインタビューでは、ほかにも、興味深いお話しが出てきます。
たとえば、2017年当時、アクティブなユーザー数はおよそ10万人で、3年以上にわたって一日平均11時間以上も WorkFlowy をつかっている。
あるいはたとえば、直接この WorkFlowy の誕生に繋がったのは、Jesse さんたちが「Y Combinator」というシリコンバレーの起業を応援する有名なプログラムに参加したことであり、そこで Jesse さんは Paul Grahum さんからコテンパンに言われて凹んだ.. などなど。
しかし、ぼくとしては謎につつまれていた開発者 Jesse さんから、直接、WorkFlowy にかける想いを聞くことができたことを、何よりもの宝物のように感じています。
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WorkFlowy 開発者である Jesse さんは、to-do リストを按配する道具として、しかも自分のアイディアをその中に書き込める to-do 按配の道具として WorkFlowy を捉えている。
そして、仕事に追われるぼくたちが、日々変化する複雑な情報を、複数の人々がいっしょになって考えながら操作できる場にしたい、とも考えている。
これらを頭に入れ、改めて WorkFlowy のデザインをながめたり、WorkFlowy のブログをよみ直したりすると、この大きな2つの軸が12年以上たった今も貫かれていると、ぼくは考えました。
いかがでしょうか。WorkFlowy の熱烈なファンである皆さんのご意見を聞かせてください。