on outline processing, writing, and human activities for nature
何度か書きましたが、ボルヘス『伝奇集』(鼓直訳、岩波文庫) とガルシア=マルケス『族長の秋』(鼓直ほか訳、新潮社) をよんでいます。ゆっくりとしかよみ進めないので、どちらもまだ終りそうにありません (笑)。
興味をもっているのは彼らの文章のつくり方です。枝分かれの多い長いセンテンスの繰り返し。パラグラフが長い場合も多く、一章分の文章がひとつのパラグラフで書かれることもある。語り手が一人称であってもひとりではなく、人物が入れ変わる場合もある。
いわゆる分かりやすい文章の逆を目指しているように見える。そうした文章のカタチが、さ迷うような論理の流れと結びついて、他では体験できない特徴的で濃い味わいのある文章になっていると感じています。
こうしたカタチの表現が発見された (創造された?) ことが、奇跡のように思います。
現実世界の「常識」に囚われない世界観の提案。時間の流れが過去から未来へだけではなく結果が原因の前に起こる可能性もあるし、一瞬が無限になる場合もある。空間も同じ。
鏡、幾何学的な形をした部屋の幾何学的な配置、迷路、謎の多い書籍たち。あるいは宇宙であるかのように無限の広さと無限の情報を蓄えた図書館。
その世界に翻弄されつつ、でも広い意味で賢明に謎解きしながら生きる、実に個性的でひどい性格をもつ、でも愛すべき人々の姿。そうした世界や人々の物がたりを通して表現される何か。そこに大きな魅力を感じています。
文章を通して何かを表現することの可能性の大きさを、これでもかと見せつけられている感覚があります。