on outline processing, writing, and human activities for nature
近所のカフェの前の駐車場に、特徴的な白をベースにした流れるような曲線をもつ車が静かに入ってくる。
よくしらないのだけど、まちがいなくそれは T。よくしらないのだけど、オートパイロットも可能な電気自動車。モーターで動くのでエンジンやラジエータを冷やすために空気を取り入れるグリルがない。
のぞき見すると (ごめんなさい) 内装もすごいシンプル。たとえばダッシュボードに計器やスイッチはひとつも見つからない。車の操作に必要なメーターやボタンは、タブレットなどの画面にソフトウェアで描かれるのだろう。
もういちど外見に目をもどすと、その内装の尖ったシンプルさを見てとれるような、洗練されたデザインだと、ぼくは思う (かっこいい)。
でも、安心してください。
その T の向かいにとまっているぼくの車は、戦争前にデザインされ、戦争の傷跡がまあたらしいヨーロッパでデビューし、農村でくらす人たちが馬車の代わりにして愛用した車。
シンプルさについては (方向は全然ちがうけど) 最先端の技術でつくったあの車に負けていません。
で、車という道具を、ぼくたち人間が自分たちの手でつくれるものだということを思い出させてくれるのです。
道具としての車の信頼性は、最先端の技術なぞつかわなくてもつくれるんだってことも思い出させてくれるのです。
たぶんね。