gofujita notes

on outline processing, writing, and human activities for nature


Bullet Journal でフリーライティングの階層をのぼる

これまで、フリーライティングは、使い捨ての心持ちで書いてきた。

ひとつでも多くアイディアを残そう、という気持ちが強すぎると余裕がなくなり、かえってアイディアが育たないことが多くなると感じていたからだ。

これは今も、ある程度正しいと考えている。でも、もう少しだけ使い捨てじゃないものにしようと考えてみたらどうなるか。何ができるか。

 

1. Jotting down

まず日ごとに、ふと思いついたこと、本や論文、記事などをよみながら頭に浮かんだアイディアを bullet journal の「NOTES」のページに記録する。

見開きの左半分が、実際に本や記事などを読みながら整理した内容をノートするページ、右半分が、その内容を出発点に頭の中に浮かんだアイディアをノートするページ。見直したときに、さらに気づいたことも、この右ページに加筆する。

ふとした思いつきも、この形で記録する。見開きの左半分が、最初に思いついたことをそのまま書き出すページ、右半分が、その書き出したセンテンスを読んで考えたこと、閃いたことを書き出すページ。

2. Freewriting

その翌日、あるいは何日か (2–3日?) あとに、ノートしたアイディアを読み直し、「FREEWRITING (FW)」のページで、フリーライティングする。

書き方はもちろん自由だが、できるだけリライトしやすい形で、たとえばこんな形で、あとから書き込みしやすいように、空白を残しながら書いて行く。

見開きの左ページが、フリーライティングするページ。リライトの書き込みがしやすいように、2行くっつけて書いては1行あけ、また2行書くという形にする。センテンスが長い場合は、文節のどこかで区切って次の2行へ移動する。

右ページには、フリーライティングしながら気づいた新しいアイディアを、その鍵になった本文センテンスの右に書く。

3. Rewriting

書き終わった直後に、その文章を一度リライトする。リライトするときは、原則左ページの空白行に書き込むけれど、右ページの空間を使ってもいい。

たとえば、これは不要というセンテンスやパラグラフは鉤括弧や四角でくくり、右ページに「not use」と書く。本文の文字を横線で消さないのは、また使いたくなったときに、読みやすくしておくため。「not use」の not だけを横線で消せばいい。

2度目以降のリライトは、気が向いたときに行う。何度もリライトするときは、ペンのインクの色を変えると見やすいかもしれない。リライト用にどんな色のインクを使うかを考えるのも楽しそう..。

4. Abstracting

最初のリライトのあと、文章全体の要約センテンスをつくる。今回の例では、2番目の図の右上にある「Bullet Journal の上でフリーライティングの階層を上る」。

その要約センテンスを、「ABSTRACT LIST (AL)」のページに記入する。

この際、abstract list に書いたセンテンスの右に、元になったフリーライティングのページを記入し、本文には逆に abstract list のページを記入する。

フリーライティングした本文のページから abstract list ページへの移動が、アウトライナーのホイスト (巻き上げ)、その逆がズーム機能にあたる。ここでは、まだひとつの要約センテンスしかないけれど、フリーライティングするごとに、このリストも大きくなる。

そして、次のフリーライティングでは、「NOTES」に書いたいくつものアイディアに加えて、abstract list も眺めた上でフリーライティングを始める。

フリーライティングとその要約センテンスづくり、そしてその要約センテンスをリストにする作業をとおして、アイディアの階層を上ることができるのではないか、というアイディアである。

 

* * *

 

以上は、Mandarin Note の記事「自分を見失わずに、大切なものをつかみとる」を読みながら、そして、そこで紹介されている Ryder Carroll の講演動画を見ながらとったノートを眺めたあと、一気にフリーライティングし、ノート上でリライトしたもの。

自分を見失わずに、大切なものをつかみとるために何をすれば良いか。Ryder Carroll は、ノートに書き出したアイディアを、具体的に実行可能なタスクリストに育てるという方策を提案している。

でも、それだけでは何か足りない気がした。そして、その足りないもののひとつは、書き出したいくつものアイディアを、別の新しいアイディアに育てる具体的な手段ではないかと、ぼくは考えた。

で、いつもアウトライナーでやっているフリーライティングとそのあとのアウトライン・プロセッシングを、bullet journal で実行する仕組みをデザインしてみた訳だ。

まだ閃いた段階なので、このやり方を使いながら手を加え、ソフトウェアのアウトライナーでやる場合とどこまで同じ効果があり、何がちがうのかも含めて、また紹介したいと思っている。

ぼくは、アウトライナーが大好きなのだけれど、できれば、アウトライナーというソフトウェアやコンピュータなどなくても、アウトライン・プロセッシングできるようなシンプルな道具をデザインできるとすばらしいと、考えてきた。

Mandarin Note の記事と Ryder Carroll の講演がきっかけになって、少しだけど具体案を考えることができた。しかも、その作業をお気に入りのノートとペンで進めることができて、幸せがちょっと増えた気分であることは、おそらく皆さんお察しのとおり (笑)。