gofujita notes

on outline processing, writing, and human activities for nature


その日付をすてろ

倉下さんの「WorkFlowy運用術」の連載、興味深く読んでいます。

倉下さんがこのやり方を考え始めるきっかけになったかなとぼくが予想している本や記事も、まさにぼくの興味のど真ん中。Tak.さんの『書くための名前のない技術 Case 3:千葉雅也さん』や『アウトライン・プロセッシング LIFE』(以下LIFE)、倉下さんとTak.さんの連載『re: vision』などです。

たぶん皆さんと同じように、ぼくはここで紹介されているようなしくみづくり、たとえばアウトラインを操作しながら日々のしごとを進める小さなアプリケーションのようなしくみづくりが大好きで、折りをみては自分のアウトラインをつくり変えています。

さて、ここでは日々のやりたいことリストの操作法に注目します。倉下さんは「ワンデイリスト」と呼んでいます。まず、倉下さんが紹介しているアウトラインを見てください。

倉下さんのアウトライン

ぼくが注目したい日々のやりたいことリストは、「6月22日」と日付の名前がついた項目です。この項目を開くとこんな風になっているそうです。

倉下さんの「6月22日」を開いたところ

大切なのは、複数の日付をならべずに今日(6月22日)一日だけが、他の大きめの項目と一緒に並んでいる点です。

これは、LIFEに出てくる日々のやりたいことリスト「DAYS」と構造がちがっています。「DAYS」に出てくる複数の日付が並んでいるやりたいことリストとはたとえば、こんな形になります。

 

倉下さんは、この複数の日付が並ぶリストとはちがう一日だけの項目名にする構造を、このやり方の鍵として紹介しています。

その日終えられなかった項目は、行頭に▼などのマークをつけて、ひとつ階層を上げる(shift + tab)。そうすることで、終えられなかったけれど大事なしごとは、このアウトラインの中でアクティブでありつづける.. というアイディアだと理解しています。

で、ここからが本題ですが、倉下さんのと似ているのですが、少しちがうしくみをつくっていました(たぶんきっかけは似ている。日付を並べる手間を少しシンプルにしたい)。この記事では、そのやり方をかんたんに紹介したいと思います。

これがぼくの日々のやりたいことリストです。今のところDynalistを使っています。

 

項目名は日付ではなく「present」(今)です。「そうだ、しごと、しよう」とMacを開けば、この「present」にフォーカスしたアウトラインがある。

日付ではないので、たとえば6月22日の午後2時に「しごと」が終わり、翌日の朝6時に「しごと」を再開するとき、あいだで何の操作をしなくても、ただMacを開けばすぐに作業を始められるようにしているつもり。

きのうの午後2時も、今朝の午前6時も、そのときのぼくにとっての「今」だから、それでよし(ニヤリ)。

ぼくの場合、そこには7つのやりたいことがならんでいて、上から順番にその項目にフォーカスして作業にとりかかり、終わらなければそのままその項目を閉じる。

以前は、とにかく作業を進めた項目に「@done」というマークをつけたり、チェックしたり、横線引いたり、いちばん下へ移動したりしてましたが、それもやめました。作業がどれくらい進んだかは、自分がいちばんよく分かっているワケですから。

日付を「present」にし、その中にある作業が終わらずに時間切れになったら、ただその作業の項目を閉じる。そうすることで、終わらなかった項目は、自動的に明日のぼくの「present」に存在することになります。

もし作業が終わったら、項目名のうしろに日付をつけ、別の大きな項目「logs/notes」(記録/メモ)へ放り込みます(command + shift + m)。

この別項目「logs/notes」は、 「present」と同じ階層に置いてあります(Dynalistでは別ファイルという名前ですが、使ってみると実質は項目と変わりません)。

残す必要もないくらい小さな作業は、その場で削除することも少なくありません。

優先順位が8番目以降のやりたいことは、「future」(未来)に入れてあります。

この「future」は言うまでもなく、Tak.さんのDAYSの「できれば」とほぼ同じです。

すぐにやりたいけど優先順位が8番目以降のもの以外に、約束した締め切りや会議も時刻と日付をうしろにつけて、日付順にならべてあります。

「present」(今)の直下に今日やりたいこと7つの項目と、「future」(未来)がある。

ちょっと大げさに書くと、今という階層の中に未来が含まれている、という構造が、何となくですがぼくの感じている時間の構造をうまく示しているように、今のところ感じています。

しごとにとりかかろうとするときは、「present」にフォーカスするので、この「future」をたたんでおきます。

そして、日々のやりたいことリストを更新したいタイミング、たとえば一日の終わりか始まりの時間に、「present」の項目が4つ減っていたら、「future」を開き上から4つを「present」の階層に上げます。今日が約束の会議も、「present」に上げます。

これでおしまい。

このやり方の大きな枠組みというか姿勢みたいなものは、LIFEでTak.さんが説明している「DAYS」をベースにしています。

アイビー・リーのアドバイスに倣い、今日やることを特定の数にしぼり、そこから溢れたものは「できれば」に入れるというシンプルで、しかもリストをダイナミックに育てる、すばらしいデザインです。

Tak.さんの本を読んだことのない人は、ぜひご一読を。その本を読みながら書いた、ぼくの読書ノートも参考になるかもしれません。

閃いたアイディアなどのメモも、LIFEのやり方に倣い、行頭にマークをつけてとりあえず「present」に放り込みます。

それがやりたいことに育ったら、「present」に残すかその下の「future」に収め、そうでなければ「logs/notes」に移動します(command + shift + m)。

事情で上にあげた図には入っていないのですが、ぼくのアウトラインには、LIFEに出てくる「ALL」(今抱えている仕事のアウトライン)と、「AS」や「BE」(自分の人生にとって大切なこと)に対応する項目も、「present」や「logs/notes」と同じ階層に置いてあります。

「present」や「future」の中の優先順位を決めたり「そもそもオレ、何でこれやってんだっけ?」なんて人生の疑問を感じたときに開いて読んだり、リライトしたりする項目です。

あと、大きなフリーライティングで書いたことも、この項目入ることが多いでしょうか。大きなフリーライティングとは、日々のやりたいことがから離れて、頭や心の中にあることを書き出すことを目指したフリーライティングです。

いかがでしょうか。

日付をとってしまい、「今」大切な7つのしごとを順番にフォーカスして作業し、終わったものは「記録」へ放り込み、終わらなかったものはそのままにして項目をいったん閉じる。

大きなしごとは、そのまましばらく「今」の中にありつづけます。

今の自分にとっての大切さが低いと感じるものは、他の約束と一緒に「未来」に入れておき、「今」にならぶ大切な作業が終わったあと、「未来」の箱から出して「今」に並べる。

ぼくにとっては、かなりシンプルでやりやすく感じるしくみなのですが、皆さんからみてどうなのかが、興味のあるところ。