gofujita notes

on outline processing, writing, and human activities for nature


Moore and Picasso

毎年通っている彫刻の森美術館へ行きました。COVID-19以降におとずれる初めての美術館でしたが、行って本当によかったというのが、今の正直な気持ちです。

Open air museum という名のとおり、おそらく展示の半分以上は、野外にあります。この点だけからでも、感染リスクが小さい形で、作品を愉しむことができると、改めて思いました。

また、都内や横浜市内の美術館にくらべてたぶん空いてる日が多いので、来訪者はたがいに広い空間をゆっくり愉しみつつ、そして沢から流れてくる涼しい風の中で、ゆっくり作品を眺めることができます。

個人的には、ヘンリー・ムーアの彫刻、パブロ=ピカソの陶芸、小さな彫刻にスケッチを、まとまった数展示している点が、この美術館最大の魅力。

ひとりの作家が、人生をとおしてつくりつづけてきた作品をまとめてみられることには、とても大切な効果があると、ぼくは考えています。

作家が、作品をとおして何をどう表現するか、作家の日々の生活をとおした実践の軌跡を追うことができるからです。

彫刻の森に集められた、ムーアとピカソの作品を、何度もゆっくり見直していると、彼らのアイディアの歴史をかいま見たように感じる瞬間があります。

その瞬間から、彼らの作品のみえかたが変わり、伝わってくるメッセージも変化します。

この体験こそ、ぼくがこの美術館に通うようになった理由のひとつです。通うといっても、少し遠いので、年に数回しか来ていないのですが..。

こうした体験は、たとえば「いやされる」とか「元気をもらえる」、という言葉だけでは表現できない何かを得るプロセスだと、ぼくは感じています。

敢えて言葉にすると「刺激される」、「エンジンに火が入る」という言葉が近いでしょうか。

そうそう。彼ら二人以外にも、メダルド・ロッソ、ジャコモ・マンズーというイタリアの彫刻家の作品群をみることも、最近の興味のひとつです。

言うまでもなく、美術館で本当の作品に触れるという体験は、たとえばオンラインや本という媒体をとおしてみる体験と、大きくちがっています。

でも、それがどうちがっているのか、そして、そのちがいが生まれる理由は何かについては、ぼくはまだ説明する言葉を見つけられていません。

ですからぼくはまだ、「美術館へ行こう」と胸を張って書くことができないでいます。

でも、やはりぼくにとっては、彫刻の森での時間は、かけがえのないものだったと実感しています。

好きな作家の作品がまとまってみられる美術館は、他にもいくつかあります。

COVID-19と少なくともしばらくつきあう可能性が高い中、屋内展示の多い美術館をどう利用していくかは、ぼくにとってぜいたくかも知れませんが、大切な課題のひとつです。