on outline processing, writing, and human activities for nature
この映画のウリとして、火星に残されたアストロノーツ Mark Watney が、「絶対無理!」と思う状況で繰りだす、その無理解決策の科学的正確さがあげられる。ぼくがみている英語の記事やツイッターでは、その話題がほとんど。
中学の頃、ほんの1週間だけまじめに宇宙開発の仕事につこうと決めたりしたぼくの期待は (笑)、火星の風景と火星まで往復する大きな宇宙船の描き方。そのどちらもが、すばらしかった。たとえば、水と植物の一切ない火星の風景は、荒涼とした厳しさだけではなく、深い美しさもあわせもっているように感じた。ひとり、火星の巨大山脈 (海がないから標高は地球の倍?) をながめる Mark のうしろ姿が印象的だった。
一番興味があったのはおそらく皆さんと同じで、火星に残された Mark の心の変化と、彼が前向きさを保ちつづけるために使った、心の技術。
やはり日誌というかジャーナルというか、日々の記録が登場していた (火星にいる Mark のブログやツイッターもある?)。記録用カメラに話しかける Mark の様子が、彼の心の変化を描く鍵になっている。そのつぎにリスト。手もちの食料リストや基地にある道具リスト。解決すべきとんでもない難問のリストには、優先順位もつけてあるらしい。そのリストをとおして現実をながめ、できることをシンプルに、たぶん手書きでシミュレーションする。
そして音楽。ディスコ音楽マニアの Commander (隊長?) が残した曲の趣味を罵りながら、ステーションやローバーの中で、彼女の選曲を流しつづける。たとえ罵倒したくなるようなものであっても、音楽は必須要素なのだ。何より、罵しるという行動のきっかけにもなる。
でもやはり1回みただけでは、なぜ彼が前向きでいつづけることができたのか、どこが新しく生まれた前向きで、どの前向きは消えて無くなったのか、よくわからないところも多かった。それでも Mark をみていると元気になれるのは、きっとマット・デイモンの演技がすばらしいからだろう。
なので、そのうち原作を読むつもり。
そんな中で、これは、と思った小さなコツのようなものがある。ネタバレになるので、くわしく書かないけど、Mark が手もちの食料を日づけ順に分けたあと、一番最後のパッケージに書いたメッセージ。
「これが、最後の食べものだぜ!」などといった、カラ元気な絶望ではなかったところが、Mark の強さのしるしかなと思った。絶望ではなく希望を選びつづけることができるしるしなのかな、と思った。