on outline processing, writing, and human activities for nature
2月に観た『オデッセイ The Martian』のシーンをよく思いだす。
火星に残されたマーク・ワトニーが、最初に撮った日誌。カメラに向かって「びっくりした!? ぼく生きてるんだぜ」と、かっこいい能天気さを見せつけてくれたあと、残された食べものの量を話しながら、口を閉じてしまう。
吹き荒れる嵐。基地の窓ガラスに容赦なくぶつかる火星の砂。枠に砂の積もった窓越しに見える、口をつぐんだままのマーク。立ち上がって机に手をつき、じっと前を見つめる。そして、彼は言葉にする。
「ぼくはここで死んだりしない.. I’m not going to die here..」
そのあとマークは、大きな問題を3つ設定し (食物、長距離移動、通信)、それを小さく分け、ひとつずつ解決していく。そのプロセスで、彼が専門とする植物学やNASAで学んだ知識が大活躍するワケだが、それらたくましい行動の出発点は「ここで死んだりしない」という覚悟だったと思う。
これが、マーク・ワトニーの考える力だ。なぜ彼は、火星で生きつづける覚悟をもつことができたのか。
強い意志とか折れない心とか、底抜けの明るさのおかげにするのはまちがってはいない。でも、それだけだと「ど根性でガンバロウ」と同じで、ぼくたちの生活に生かすのが難しくなる。
彼が「ここで死んだりしない」と口にするまでに、何をどう考えたのか。あるいは、何を考えないことにしたのか。そして、そのプロセスを、だれもが自分の生活に生かすことができる技術にできるのか。そこに興味がある。
なのでやはり、原作を読んでみよう。実はそこは大事じゃない、という作品かもしれないけれど、それもまた楽しみのひとつにしておこう。