gofujita notes

on outline processing, writing, and human activities for nature


何でそんなことに夢中なの?

欧米の Pen community (万年筆が好きな人たちの緩やかな集まり) を支えているグループに Goulet Pens というオンラインのリテール (販売店?) があります。

このリテールのサイトでは、Goulet Pens を立ち上げたメンバーのひとり、Brian Goulet が、読者や視聴者からの質問に答える動画と記事が公開されています。

(Goulet は、グ[ぁ]ぅレっ[と]ペん、と発音する人が多いようです。カタカナは強い音、カギカッコはほとんど聞こえない音です)

その中に、こんな質問がありました。動画だと23分あたりの質問です。

What’s the thing that makes people so passionate about fountain pens? 

なんで万年筆に夢中になる人がいるんでしょう?

万年筆に限らず、あるものに夢中になる人たちの気持ちって、それ以外の人にとってみると、理解できない近寄りにくいものに感じることもあります。

そんな初心者の気もちに立った質問は、夢中になっている人からすると仲間を増やすチャンスでもあるんですが、答え方が難しい質問ですよね。で、この質問への Brian の答え方が、ちょっといいなぁと思いました。

how can you NOT be passionate about them??

万年筆に夢中にならない人なんている? いないよね??

まず、やや自嘲気味に、でも率直に自分の気持ちを伝えています。万年筆なしの人生なんて考えられないよーって感じでしょうか。そして、こうつづけます。

part of the beauty of fountain pens is it’s a very personalized interest, people are drawn to them for different reasons

万年筆のすばらしいところは、自分なりに愉しめるってこと。万年筆好きの人たちは、みんなちがう形で万年筆に惹かれてるんだ

万年筆の長所を、自然に伝えています。ユーザーそれぞれがオリジナルな形で愉しめるくらい、万年筆という製品には多様性があるのです。

そして、勢いそのままに、その代表的な愉しみ方を6パターン紹介します。要点はこんな感じ。

  1. 道具として使いこなす。パフォーマンス/コストや環境インパクトの小さい点にこだわる
  2. 道具以上の道具として使うプロセスを大切にする。万年筆とのやりとりをとおして、自分なりの書き方や描き方を育てる
  3. いわゆる「ギア (かっこいい道具?)」として、メカニズムや素材、生産工程、デザインなどに魅せられている
  4. 歴史 (150年以上!) を調べながら、実際にヴィンテージ・ペンを買ったり使ったりする
  5. 芸術作品あるいは職人がつくりだした製品としてコレクションする。もっと気楽に、たとえば色を全部そろえたりする
  6. 投資対象にする
  7. 同じ情熱をもったコミュニティメンバーとやりとりする

で、最後にこう締めくくります。

it’s often a blend of these for people, but what ever the reason, it’s awesome to see and the passion is pretty universal because no one HAS to use these pens!

このいくつかが混ざり合った形で愉しんでる人が多いけど、どんな理由にしたって、そんな光景を見るのはすばらしいことだし、この熱い気持ちってどこにでもあると思うんだ。だって、みんな自分で決めてその万年筆をつかってるのだから。

万年筆との付き合いはかくあるべきと語るのではなく、自分の気持ちを短く率直に伝えながら、その楽しみ方を具体的に伝えるアウトラインが、いいなぁと思いました。みんなの生活をもう少し楽しくするオプションの紹介、と言えばいいでしょうか。

あなたにも夢中になっていることが、きっといくつかあると思います。

そんなあなたは、「何でそんなことに夢中なの?」という率直な質問をしてくれた人たちに、どう答えていますか?