gofujita notes

on outline processing, writing, and human activities for nature


歴史

今日も、東北地方と関東の農業史の情報を集めている。

北上川流域の丘陵地にある人口一万の小さな町の町史が編まれていることにも、少し感激。

そこには、明治五年に製糸業の発展を見込んだ農家が、クワの苗を2,500株を買った記録が残っていたり、水車ブームに乗って町にも水車小屋を建てた人やその位置の記録もある。

そして、今から見ると小さな出来事に見えるこうした記録と並んで、その後に大きな影響を与える出来事も混ざっている。

たとえば何千万トンの農業用水を確保するためにダム建設の対象になった集落の田んぼや畑の広さや収穫量と、そこを去ることなった人たちの名前のリスト。

このダム建設は大戦によって一時中断される。食糧不足による帰村と再度の離村を経て、1950年代にダムは完成。

別の資料によると、そのダム完成を受けて、当時の農林省が大規模な水田開拓プロジェクトを25年にわたり進めている。

ぼくがフィールドで出会った当時を覚えている農家の人たちも、このダムの完成はそれまで天気まかせだった田んぼづくりを一変させたと、口を揃えて話す。

クワの苗を買った人のエピソードも、ダムで故郷を去ることになった人のエピソードも、今から見た影響の大きさに関係なく、そこに暮らす人たちを巻き込みながら進んでいる。

あぁ、これが歴史というものなんだなと、改めて考えたりしている。