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ecology of biodiversity conservation

notes

on ornithology, ecology, conservation of biodiversity, natural history, evolution, outliner as a personal dynamic media, and writing


瞬間を自分のものに. August 18 2015

宮澤賢治と Ernest Hemingway と Raymond Carver。この3人の作家を、ぼくは全部ひっくるめて好きだと思っていた。

でも最近やっと気づいたのは、ぼくは、長編小説と短編小説なら短編が好きであり、短編小説と詩ならだんぜん詩が好きということだ。


あれだけ賢治が好きなのに、読んだはずの、詩以外の名作がほとんど記憶に残っていない。Hemingway は長編から好きになったけど、最高なのはなんといっても短編。たとえば、夜更けのカフェに長居する老人とウェイター2人のひと晩の物語は、未だに読むごとに発見がある。

Carver の英語は本当に好きで、何十回も何百回も読み返したのがいくつもあるが、もちろん全部、詩集の中の作品。鍵を忘れたぼくが自分ちの2階のベランダによじ登って、外から自分の部屋を眺める詩や、パーティあとのひとりっきりの家で、窓辺に座ってポップコーン食べる詩なんて、今思い出しても鼓動が高まる。

こういった好きな文章のほとんどが、読みながら瞬間の豊かさを感じるものばかりであることは、前から気づいていた。絵がうかぶだけでなく、音や話し声まで聞こえてきそうなものばかりなことは、最初から知っていた。たぶん瞬間をかくための手段として、長編小説よりは短編、短編小説よりは詩が、向いているのだろう。もちろん、ある瞬間をえがくための長編もあるけれど。


時間はとまらない。でもテキストでは、流れ続ける今をかんたんには、そして完璧には表現できない。それはつまり、瞬間をつかむためにはその一部分を切り取り、ある方向から光をあて、モデルをこしらえる必要があるということを意味している。

この問題は、ぼくたちの生活の広い範囲に関係する。たとえば今閃いたアイディアや、本を読みながら理解できたと思うことをノートするとき、当然なのだが、その頭の中にあることをかんたんには、そして完璧には記録できない。

瞬間をいかに表現するか、あるいは自分のものにするか。その瞬間から何を理解し、どう先へ進むのか。ぼくは、彼らからその技術を学びたいのだと思う。きっとたぶん。



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