on outline processing, writing, and human activities for nature
珈琲が好きになり、珈琲屋で買った豆を挽き、紙のフィルターを使って淹れるようになって、そろそろ20年。
たまにフレンチプレスを使うこともあるけど、ほとんど Chemex の珈琲メーカーで淹れてきた。
当たり前だけど、自分にとって美味しい珈琲を飲むには、自分で淹れるのが一番。しばらくフィールドワークで外に出ていて戻ってくるとよくそう思う。だれがなんと言おうと、ぼくにとって一番おいしいのは、ぼくが淹れた珈琲である。
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好きな豆 (最近だと、近所にあるヴィヴィモンディモンシュというカフェのコスタリカ。アナエロビコという方法で精製しているのだそうだ) を少し粗めに挽き、水の量をやや少なめに使う。
水を数分沸騰させたあと、これまたお気に入りのポットに移し (ここ三年くらいは、やはりディモンシュの黒塗りのポットがお気に入り) 、まずは紙フィルター全体にお湯をかけて、フィルターの匂いをとる。
沸騰したお湯を別のポットに移すのは、お湯の温度を下げるねらいもある。
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下に落ちたお湯をすてたら、挽いた粉をフィルタに入れる。珈琲豆の香りが広がる中で、湿ったフィルターに粉がたまる様子を見るのは、好きな瞬感のひとつ。
そして、粉全体が湿るまで、Chemex の底にお湯が落ちないようにゆっくり少しずつお湯を落とす (このとき、ポットの注ぎ口の細さと形が良いと楽しくお湯をていねいに注ぐことができる)。
粉全体にお湯が行き渡り、最初のひとしずくが、珈琲メーカーの底に落ちてからはすかさず、お湯を一気に注ぐ。
でもていねいに、ゆっくり大きめの円を描くようにしっかりと。粉全体が東京ドームにふわっと盛り上がったら、それは成功のしるし。
あとは焦らずに、お湯を同じ速度で同じように注ぎつづける。
繰り返すけど、お湯の量は、多くの人が言う量よりもやや少なめが好み。お湯が落ちきる少し前、あと2センチほど残った段階で、フィルタを外す。
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温めたおいたカップからお湯を捨て、Chemex からその珈琲を注ぎながら色を楽しむ。今使っているコスタリカだと、香りがなんと言えばいいのか、甘いような爽やかなような感覚があるけど、他の人にもそう感じるのかは自信がない。
この時間は、他に何もしないし何も考えない。ただ珈琲を淹れるだけ。
それがまた、何ともいえず、うれしい時間。