on outline processing, writing, and human activities for nature
野外調査のフィールドなどで、ふと、新しい問いに気づくことがある。
これを研究のまないたに載せるために、他の人がすでに取り組んできた問いとすり合わせる作業を行なう。
先人たちがどのような問いに気づき、どのような答えの案を出し、どのようにその妥当性が検証されてきたのかを踏まえて、その先へ進むために。
以下は、ぼくが普段すすめている手順を整理したもの。
フィールドで気づいた問いを文章にする
その文章から、キーワードをいくつか選ぶ
このキーワードを使い、論文データベースを検索する
ヒットした論文が多すぎる時、検索に使うキーワードの数を増やしたり、組み合わせを変えたりして、ヒット数を減らす。目標とするヒット数は、ぼくの場合20編以下で、可能なら10編前後が理想
その10–20編の論文タイトルを眺め、一番気に入った論文3つをゆっくり読む
そこであつかわれている問いとテストされた答えの案があれば、それを書き出す
読んでみておもしろくなければ、リストにある他の論文を読む
6–7 を繰り返し、フィールドなどで自分が気づいていた(漠然とした時も多い)問いに関係する問いとその答えの歴史をレビューする
その問いと答えの歴史を踏まえて、今自分の中にある解かれていない問いを文章にする
論文には、それぞれ問いが明確に提示されている。加えて、その問いに取り組む意義、その問いへの答えの案、その妥当性をテストした結果なども書かれている。論文を使って問いの情報を集め、問いと答えの歴史を俯瞰するのである。
3番目のステップで、自分が思いついたキーワードで検索する。そして、引っかかった論文のタイトルから気づいていなかったキーワードを見つけ、そのキーワードも加えながら、検索を繰り返す。
経験的には、最初は何百、何千という大量の論文がヒットすることが多い。4番目のステップで数をしぼる際には、まずヒットした論文リストを引用された回数の多い順に並べる。
そして上位の論文の中で自分の興味に近いと思う論文を選び、そのタイトルからキーワードになりそうな言葉を探す。被引用数が多い論文は、より多くの人が一生懸命取り組んだ問いをあつかっていることが多い。
個人的な経験則だが、最初に目をとおす論文が10編より少ないと情報不足のことが多く、20編より多いと質の悪い論文が多数入っていることが多くなる。
できれば、それらの多くが5年から10年以内に発表された論文であることが望ましい。まだ解かれていない、現在進行形の問いを知るためには、新しい論文を確認するのが一番である。
また、6番目から7番目の問いの歴史を整理する段階で、自分がそれらの問いのどこにどんな価値感じるか、もあわせて文章にするようにしている。
この手順は、科学以外の活動、たとえばぼくたちが日々の生活の中で出会う問いを他の人たちの活動とすり合わせるときにも役立つかな、と考えている。
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くるぶし (読書猿 @kurubushi_rm) さんが、文献の探し方について書いていた。
こちらは、キーワードでうまく文献がヒットしなかった場合の対策が中心。手持ちの情報からヒットするキーワードを見つける方法と、著者を鍵に文献を探す方法など。