Monet の Argenteuil [1]。
たまに行く美術館で、たまに眺める絵のひとつ。
重い雲が地平線の遠くから、うねるようにこちらに連なっている。
しかし太陽の光は強く雲を照らし、一部が雲を通り抜ける。
その光る雲は、水面に映り、高い塔をもつ建物の影の先で揺らめく。
水面は、たぶん川面だろう。
湖のように大きく、ゆっくり流れる川面だろう。
塔の先の影は、川面の波でいくつもに分かれていたと思う。
Monet は、どのようにしてこの瞬間を描いたのか。
何か月も通い続けながら、同じ瞬間をひろい集めたのかも知れないし、
その瞬間を記憶して、あとは頭の中にある像をそのまま描いたのかも知れない。
この瞬間を描くという強い意志と
それを形にする無数の技術を鍛錬せずには、
描くことのできない絵。
この瞬間が他の何よりも大切という
瞬間への強い憧れと尊敬なしでは、
描くことができない絵。